作品図版
歌川広重(1797-1858)《名所江戸百景・亀戸梅屋鋪》江戸時代・安政4年(1857) 錦絵 39×26cm
東京国立博物館

歌川広重《名所江戸百景・亀戸梅屋鋪(かめいどうめやしき)》江戸時代・安政4年(1857)

1.作品解説

 江戸時代に描かれた浮世絵版画です。「浮世」、つまり当時の世の中を映す風俗や名所などを題材に描いたのが浮世絵です。美人や役者などさまざまな題材の中でも、名所絵(風景画)は、この時代の人々の旅への憧れや、行楽の流行を反映しています。今でいうと、行く予定はないけれど、旅行のガイドブックを眺める楽しさのようなものでしょうか。これは江戸の名所の風景を集めたシリーズで、浮世絵師の歌川広重の晩年の作品です。亀戸の梅屋敷は、今の東京都江東区、亀戸天神の裏手にあった梅園です。

 絵を見ている私たちの前に立ちはだかるように、梅の木が配置されています。近景と遠景の大小の大胆な対比により、距離感を出しています。画面の奥まで梅林が広がり、無数の白梅の良い香りがしてきそうです。地面の深い緑色が上に行くにつれて淡くぼかされ、いつの間にか赤みを帯びたあたたかい空の色に変わります。

2.キーワード

キーワード:文化の比較(中2・3)
「浮世絵って?ジャポニズムって?」」

○キーワードにつなげるヒント

 「構図」「立体感」「遠近感」などをキーワードに観察、ディスカッションを行い、独特な構図、平面的な色彩構成など、この作品の特徴をつかんでみましょう。同時代のヨーロッパの風景画と表現を比較してみるのもよいかもしれません。その違いを考えることで、ジャポニズムを通してゴッホら芸術家が取り入れようとした日本文化の独自性が浮かび上がるのではないでしょうか。

○作品の背景

 この『名所江戸百景・亀戸梅屋鋪』は、オランダの後期印象派の画家・ゴッホが油絵で模写したことでもよく知られています。(参考作品:「日本趣味 : 梅の花(Japonaiserie : l'arbre (Prunier en fleurs)」Van Gogh, Vincent 油彩 カンヴァス 1887年、ゴッホ美術館)斬新な構図、平面的な構成、補色(赤から緑)のグラデーションなどに、異国情緒を感じ魅了されたのかもしれません。ゴッホの作品では、左右に漢字の装飾が加わっており、日本趣味を強調しているようです。


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