作品図版
葛飾北斎(1760-1849)《冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏》江戸時代・19世紀 錦絵 39×26cm
東京国立博物館

葛飾北斎《冨嶽三十六景・神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)》江戸時代・19世紀

1.作品解説

 江戸時代に描かれた浮世絵版画です。「浮世」、つまり当時の世の中を映す風俗や名所などを題材に描いたのが浮世絵です。美人や役者などさまざまな題材の中でも、名所絵(風景画)は、この時代の人びとの旅への憧れや、行楽の流行を反映しています。今でいうと、行く予定はないけれど、旅行のガイドブックを眺める楽しさのようなものでしょうか。

 冨嶽三十六景は、富士山のある風景を描いた36図に、あとから10図が追加され、46枚のセットになっています。その中でも最も有名なのがこの「神奈川沖浪裏」でしょう。一番に目に入るのは、ダイナミックにせり上がった波です。その中に傾いた小舟が3艘、波に翻弄されています。遠く奥の方には、ぼかし技法の空に富士山がくっきりと配されています。三角形で安定した描かれ方の富士山と、手前の躍動感たっぷりの海の表現が対照的です。

 浮世絵の中には手描きの一点ものの肉筆画と、量産できる木版画があります。この作品は木版画ですから、数多く同じ絵が摺られ、少しずつ色味の異なるバージョンが存在します。

2.キーワード

キーワード:発見(小1・2)
「ざっぱーん!富士山を飲み込むぞ」

○キーワードにつなげるヒント

 富士山を中心に、ぐいっと円を描くように大波がせり上がっています。この動きを直感的に捉えるために、どんな音が聞こえてくるか(擬態語などで表現)を考えてみたり、何人かで富士山、小舟、波などの画面上の動きを身体で再現してみてもいいでしょう。まるで富士山を飲み込んでしまいそうな勢いの波に同化し、声や身体の動きを大きく使ってこのダイナミックな作品を捉えてみましょう。


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