作品図版
フランシスコ・ゴヤ(1764-1828)《なんと勇敢な!『戦争の惨禍』7番》1810年-15年頃 エッチング、アクアティント、ドライポイント、ビュラン、バーニッシャー、ウォーヴ紙 15.5 x 20.5(版寸); 24.9 x 34.5(紙寸)
国立西洋美術館

フランシスコ・ゴヤ《なんと勇敢な!『戦争の惨禍』7番》1810年-15年頃

1.作品解説

 『戦争の惨禍』は、ゴヤの4大版画集のひとつで、対仏独立戦争中(1808~14年)に繰り広げられた虐殺、暴行、拷問など、ありとあらゆる残虐行為、ならびに、2万人の死者を出したといわれる1811~12年の飢餓の惨状を描いた大作です。

 この版画は、『戦争の惨禍』のなかで、唯一登場人物を特定できる作品です。しかし、ゴヤは、この女性闘士アグスティーナ・アラゴンを顔が見える正面からではなく、銃弾に倒れた人々の屍の上に立ち、大砲を発射してフランス軍を撃退する後姿で表現しました。また、題名にも彼女の名前を付なことで匿名性を保っています。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:歴史と信仰(中2・3)
「女性闘士」

○キーワードにつなげるヒント

 まず、作品をよく見て、何が描かれているか確認しましょう。主人公の女性を、正面から描くことと、後からえがくことの違いを考えてみましょう。ゴヤが表現しようとしたことや戦争について考えるヒントになるかもしれません。

 また、この作品が戦争の一場面を描いたものであることを踏まえて、今日、世界の様々な場所で起きている紛争について話し合うこともできます。

○子どもの声

「人が死んでるみたい」(小5)

「大砲に火をつけている」(小5)

○作品の背景

 1808年5月2日のマドリードの民衆蜂起に始まった対仏独立戦争は、ゴヤの内面に深刻な危機を生み出しました。人間と社会を客観的に批判するだけの余裕をもっていた以前の作品と違い、『戦争の惨禍』はスペインの苦難の時代のドキュメントであると同時に、「人間の条件」とは何か、というゴヤの執拗な問いかけだといえるでしょう。


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