作品図版
カルロ・ドルチ(1616-1687)《悲しみの聖母》1655年頃 エッチング、アクアティント、ドライポイント、ビュラン、バーニッシャー、ウォーヴ紙 15.5 x 20.5(版寸); 24.9 x 34.5(紙寸)
国立西洋美術館

カルロ・ドルチ《悲しみの聖母》1655年頃

1.作品解説

 暗闇を背景にして、深みのある青色のマントを身にまとった聖母マリアが、淡い光に包まれて両手を合わせた祈りのポーズをとっています。光と影が織りなす強いコントラストと若く清純なマリアは見る人の心に深く訴えかけてきます。

 カルロ・ドルチが描いたこの聖母は、16~17世紀にスペインで人気を博した聖母像の形式をふまえたものと考えられます。ドルチのこうした聖母像は、当時たいへんな人気を博しました。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:歴史と信仰(中2・3)
「聖母のイメージ」

○キーワードにつなげるヒント

 イエス・キリストの母、聖母マリアは、信仰の対象としてイエス同様に数多くの絵に表されました。この聖母マリアからどのような印象を受けるか、またその理由について話し合ってみましょう。この作品より前に描かれた古い時代のマリア像と比較すると、聖母マリアの表現やそれに伴うイメージが時代によって変化していることがわかります。

○子どもの声

「優しそう」(小5)

「なんだかとても心細そうでした」(小5)

「明暗のある色の組み合わせが、より彼女を神秘的なものに見せている」(高1)

○作品の背景

 この絵は、16世紀に始まった宗教改革を背景に、豊かで深い色彩、強い明暗法を特徴とするバロック様式の絵画や彫刻が普及してきた時代に描かれた作品です。

 また、東京国立博物館に所蔵されているキリシタン関係遺品の中の、重要文化財《聖母像》(親指のマリア)は、本作品との類似性が指摘されることから、ドルチが影響を受けた形式の聖母像は、カトリック教会の改革運動の一環として、国内だけでなく、海外での布教に利用されたことがわかります。


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