作品図版 作品図版 作品図版
マリオット・ディ・ナルド(1394-1424)《「聖ステパノ伝」を表した祭壇画プレデッラ》1408年 テンペラ/板 30 x 57.3cm, 29 x 53.9cm, 29.6 x 57.5cm
国立西洋美術館

マリオット・ディ・ナルド《「聖ステパノ伝」を表した祭壇画プレデッラ》1408年

1.作品解説

 3点のパネルは、大型の多翼祭壇画の下部の層で「プレデッラ」と呼ばれる部分を構成していた絵です。これらの絵は、キリスト教の聖人ステパノの物語を表しています。各パネルは中央でふたつに分かれ、計6つの話が左から右へ展開していきます。1)人々に説教し、二人の老人と議論する場面、2)ユダヤの法院で大司祭と議論する場面、3)石で撃たれ殉教する場面、4)ステパノを埋葬する場面、5)ローマ総督の妻ユリアナが彼の遺体を夫のものと間違えてコンスタンティノポリスに舟で運ぶ場面、6)その後、遺体がローマに移され、聖ラウレンティウスと一緒に埋葬される場面、が鮮やかな色彩と金箔で生き生きと描かれています。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:論理性(小5・6)
「主人公はどこにいる?」

○キーワードにつなげるヒント

 物語を主題にして複数の場面が描かれたこの絵は、見えたものから論理的に話の展開を想像する活動に適した作品です。主人公を見つけ出し、そのポーズや周囲の人々の様子などを注意深く見て、自由に物語を想像してみましょう。また、樹木や岩で各パネルをふたつの場面に分ける表現の工夫について、漫画のコマなど子どもたちにも馴染みのあるものと比較しながら考えてみるのも面白いでしょう。

○こどもの声

「何度も同じ人が出てくる」(小5)

「正しい人は、いつも否定される」(小5)

「この絵は、右、左どちらが始まり?」(小4)

○作品の背景

 聖ステパノは、新約聖書の『使徒行伝』に登場するキリスト教の聖人のひとりです。キリストの教え守り、布教するために命を落とした最初の「殉教聖人」としても知られています。

 マリオットはこの祭壇画をフィレンツェ近郊の、聖ステパノに捧げられたサント・ステーファノ・イン・パーネ聖堂の礼拝堂のために制作しました。この祭壇画は、後にばらばらに散逸してしまいましたが、当館の「プレデッラ」をはじめとして、『聖母戴冠』を描いた中央のパネルはアメリカのミネアポリス美術研究所に、またその両側に描かれた4人の聖人のパネルはポール・ゲッティ美術館に所蔵されているなど、所在が判明しているものもあります。1996年、当館ではこれらの散逸したパネルを可能な限り集めて、祭壇画の再構成を試みる小企画展を開催しました。


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