作品図版
上村松園(1875-1949)《母子》1934年 彩色、絹本 168×115.5 cm
東京国立近代美術館

上村松園《母子》1934年

1.作品解説

 幼子が何かを見つけ、母の襟元をつかんで身を乗り出しています。母親は優しく子を抱きながらその視線を追い、穏やかな笑みを浮かべています。

 上村松園は、京都に生まれ育った女性の画家です。母と子の間にかよう情愛は、母の手ひとつで育てられた松園にとって重要なテーマでした。「私を生んだ母は、私の芸術までも生んでくれたのである」と追想しています。この作品は松園が59歳、孫をさずかり、最愛の母をなくした年に描かれました。明治初期の夏の京都という設定で、若い母親が、しま模様の着物に黒髪や黒い帯も形よく、上品に描かれています。微笑む口元にのぞく鉄漿(おはぐろ)は既婚の印、そり落とした青い眉は子どもを産んだ印です。幼子を抱く母親の姿に、若き日の自分や、亡くなった自分の母の姿を重ねたのかもしれません。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:昔のくらし(小5・6)
「明治時代の親子」

○キーワードにつなげるヒント

 シンプルに母子像と簾(すだれ)だけが描かれているため、それぞれ細部までよく観察してみることが鑑賞活動のきっかけになります。知識を持たずに見ても、身につけているものから人物の生きた時代や身分、しぐさから母子間の関係などを想像することができます。たとえば、身につけている着物や簾から季節は夏だとわかります。

○こどもの声

「やさしいお母さん。眼や大事に抱いている手を見てそう感じた」(小学生と保護者)


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