作品図版
PHOTO:MIURA Kazuto
アントニー・ゴームリー(1950-)《反映/思索》2001年 鋳鉄 191 x 68 x 37 cm (2体)
東京国立近代美術館

アントニー・ゴームリー《反映/思索》2001年

1.作品解説

 ガラスの窓を隔てて向かい合う、そっくりなふたり。ひとりは屋外に、ひとりは室内にいます。ふたりは何者なのか。どんな関係か。謎が深まる作品です。

 ゴームリーは、イギリス生まれの彫刻家。この作品は、自分の身体で型をとったものです。展示場所は、作者本人が決めました。1体が約650kgという重い作品なので、床のタイルを一度はがして鉄板で補強したうえで設置しています。設置後、雨風により外の人物が赤くさびてしまいましたが、作者はこの変化を歓迎し、「場の記憶としての変化を、見る人に楽しんでほしい」と言っています。原題の[Reflection]には、反射、反映、思索、意見、内省などさまざまな意味があります。作者は、作品を通して、見る人がいろいろな意見や議論を交わすことを期待しているようです。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:内省(中1)
「自分を見つめている?」

○キーワードにつなげるヒント

 この作品の表面は凹凸があまりなく、背の高い男性であるということ以外、表情や髪形、服装などがわかりません。特定の誰かを想起させない人物像がガラス越しに向かい合う様には、自身と向き合うなどのイメージをもつ人も多いかもしれません。「もし自分がこの作品に題名をつけるとしたら」という活動では、説明するのが難しいイメージも言葉にできるときがあります。

○作品背景

 ゴームリーが制作した人型の彫刻は、この作品以外にも様々な場所にあります。日本では美術館や公共施設、作家が生まれたイギリスでは街中や浜辺などにもあります。等身大の作品は、遠くから見ると人影と見間違えるかもしれません。置かれた場所や環境とともに鑑賞できる作品です。

○こどもの声

題名をつけるとしたら、「過去の自分と未来の自分」(中2)

「同じ人物の今(屋外)と、理想の姿(屋内)。屋外のものが現在の姿なのは、変化をしているから。」(中3)

・美術館へのお手紙より(小6)

 ぼくは、今から見る作品はとてもうまい作品なのかな、とか、とてもうまいちょうこくなのかな、と思っていました。でもとてもユニークな作品ばかりで様々なことを想像しました。中でも一番印象に残った作品は《反映/思索》という作品です。自分の体でつくったというのでとてもおどろき、よく自分の体でつくろうと思ったな、と思いました。ぼくはとてもいい経験をすることができました。ありがとうございました。

・学校作成のワークシートより(中3)
その作品の最初(事前授業)の印象:
一体の人の形をした像が、ガラスの方を向いて立っている。なぜ美術館内ではなく、外に立っているのだろう。ふしぎな感じ。
クエスチョン:
Q1なぜガラスの前に立っているのか。
Q2なぜ外にあるのか。
Q3作者はどう考えながらこの像を造ったのか。
トークを聞いて最初の印象と変わったこと:
この像は実際に見てみると、外側と内側に一つずつ像が向き合っていることがわかった。この像は作者である。アントニー・ゴームリーさん本人の型で作ったそうだ。だからQ1のようにガラスと向き合っているのではなく、「自分」と向き合っているのではないかと思った。この作品は、周りの目を引きつけるような感じがした。こういうのも「作品」なのだなと思った。

3.実践例

○ギャラリートークで使用したワークシート

ワークシート作成:MOMATガイドスタッフ 

回答例(小5)

「すごく顔がにているよ。かがみにうつっているのかな?君はだれ?どっちがほんもの?」―「ほんとだ。すごく顔がにているね。君はだれ?どっちがほんものなのかな?」
「よっ!元気か!!外は、風がふいていて、ちょっとあついよ!……ずっと見んな!!」―「中は、ちょっとさむいよ……お前だってずっとみんな!!」


このページのトップへ戻る