作品図版
岸田劉生(1891‐1929)《道路と土手と塀(切通之写生)》1915年 油彩、キャンバス 56×53 cm
東京国立近代美術館

岸田劉生《道路と土手と塀(切通之写生)》1915年

1.作品解説

 岸田劉生はこの頃、北方ルネサンスの画家デューラーに魅了され、細密描写に向かいました。「ぢかに自然の質量そのものにぶつかって」いこうとした劉生は、盛り上がる土や、小さな石や草まで克明に描いています。

 この坂道は、現在も東京都渋谷区代々木4丁目にあります。今はアスファルトで舗装されマンションに囲まれていますが、当時は都市開発の最中で、この坂も土を切り崩して通されたばかりでした。真新しい塀の白さが、坂や土手の関東ローム層の赤土と、強いコントラストを見せています。強いコントラストを見せています。この坂を別の角度からとらえた絵には2本の電柱が描かれていることから、この絵の下部を横断する2本の黒い線は、その電柱の影であることがわかります。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:中に入る(小3・4)
「この道に立ってみたら・・・」

○キーワードにつなげるヒント

 坂道を見上げる構図は奥行きを感じられ、細密に描かれた手前の草や土などは、まるで目の前にあるように見えます。「もしこの道に立ってこの風景を見ているとしたら」ということはイメージしやすいでしょう。描かれた季節や時間、あるいは坂道を登りきった先に何があるのかも想像してみましょう。

○作品背景

 左下の石には劉生のサインである「R」のようなマーク、右下には「5th November 1915, R. Kishida」と書かれています。日差しが強く影がはっきりとしているので、季節を夏と感じる人も多いですが、署名は11月となっています。

○こどもの声

「最初、写真かと思った」(小4)

「すんだ青空がきれい」(小4)

・解説ボランティアのギャラリートーク感想(対象:小5)

 詩的で豊かな表現をしてくれた男子が、先生から心配されていた子だったと後から聞き、驚く。「坂の上に行ってみたい、神さまが翼をくれる。ふわっと飛び上がってみたい」という彼の発言が強く印象に残った。

  「何にもないよ、ここ」「外国なんじゃない?」「いや代々木って書いてある」「100年前の東京です(トーカー)」「何にもなかったんだ」「じゃあ、なんでこんな場所を描こうと思ったんだろう?(トーカー)」という流れで「この景色がなくなってしまうから、描いて未来に残したいと思った」という発言も心に残った。

3.実践例

東山魁夷との比較鑑賞


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