作品図版
ヤン・トーロップ(1858-1928)《デルフト・サラダ油》1895年頃 リトグラフ 100×62cm
東京国立近代美術館

ヤン・トーロップ《デルフト・サラダ油》1895年頃

1.作品解説

 ヤン・トーロップは画家であるとともに、デザイナーとしても有名です。この作品もサラダ油の広告ポスターとして制作されました。両手を上げて立つ右側の女性の視線をたどると、会社の商標と原料のピーナッツ、そして商品名の「DELFTSCHE SLAOLIE」が自然と目に入ります。文字の両側や左でサラダを混ぜる女性が手にした瓶は商品のイメージ。象徴的な女性像とそのうねるような長い髪やドレスのひだは、19 世紀末、世界的に流行したアール・ヌーヴォーならではの表現です。細くリズミカルな曲線が成長する植物みたいに画面いっぱいに伸び広がって、有機的な装飾性を作り出しました。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:論理性(小5・6)
「料理中?」

○キーワードにつなげるヒント

 うねうねと伸びた髪の毛やドレスのひだを表わす曲線が、作品に目が回るような動きをもたらし、不思議な雰囲気が作品全体を支配しているような印象をもたらします。しかし左側に座った女性を観察すると、左手にはスプーン、右手の瓶から液体が流れ、意外にも料理という日常的情景が描かれていることに気づくでしょう。一方の謎めいたポーズで立つ右側の女性も、その視線をたどれば、料理に用いている液体、すなわち本作の主役であるサラダ油の原料から商品名までしっかり紹介する役割を担っています。描かれているモチーフとその配置から、この作品が作られた目的を探ってみましょう。

○作品の背景

 アール・ヌーヴォー様式は、広告分野の躍進にも大きく貢献しました。ポスターはこの時代最大のメディアです。2 人の女性の印象的な表情や仕草を眺めるうちに、しっかり商品の情報が伝わります。不思議な雰囲気だけではない、広告としての機能は本作の重要な見どころとなります。

○こどもの声

「曲線がいっぱいで動いて感じる。目がまわりそう。」(小4)

「右の人がどこを見ているのかが気になった。」(小6)

「女の人が2 人とも魔女みたいで不気味。右の人は何かをつぶやいていそう。」(中2)

「ドレスのせいで昔の人にみえるけれど、わざわざ料理中の姿を絵にしたのには意味があるの?」(中3)


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