作品図版
福田繁雄(1932-2009)《Victory》1975年 シルクスクリーン 103×72.8cm
東京国立近代美術館

福田繁雄《Victory》1975年

1.作品解説

 黄色の背景に大きく黒々と描かれたのは、砲身と弾丸。思わず目が釘付けになるストップモーションのようなこのポスターは、いったい、どのような場面を表わしたのでしょう。敵の砲撃を受けた瞬間?それとも?敵をねらって放ったはずの一発が、戦禍を広げ、やがて自身の危機を招くきっかけともなり得るのだと本作は教えているのかもしれません。

 左上に白で小さく掲げた「VICTORY」の文字、そしてカラッと明るい地色はなんとも皮肉であり、それでいて軽妙なユーモアも漂っています。「苦しい時ほど私たちに必要なのはさわやかなユーモア」というのが作者・福田繁雄のモットーでした。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:現代の社会(中1)
「飛びだした弾丸の向かう先は」

○キーワードにつなげるヒント

 この次の場面を想像してみましょう。ポスターを「視覚伝達の花火」と呼んだ福田繁雄らしい1点ですから、メッセージを読み取るのは比較的簡単ですが、単純だからこそ、本質に迫るディスカッションも可能です。最初は左上の文字を隠し、各自でタイトルをつけてみるのも有効です。また、背景色を赤や青など、他の色だったことを想像してみると、メッセージと色彩計画の効果に触れることもできそうです。

○作品の背景

 本作は、ポーランドで開催された「戦勝30 周年記念国際ポスターコンクール」でグランプリを受賞。作者は勝利の喜びを高らかに謳い上げたり、戦禍の記憶を嘆くのではなく、明るく単純な構成によって戦争の虚しさをさらけ出しました。

○こどもの声

「あざやかで目立つ色。」(小4)

「弾がちょうど大砲のところに飛んできたところかと思った。」(小5)

「色紙を切ってはったみたい。」(中1)

「第一印象は明るいけれど、しばらく見ているうちに考えていたことが逆になる。」(中2)


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