作品図版
野口光彦(1896-1977)《鈴をもてる児》1950年頃 桐、木彫、胡粉仕上げ h22.5cm
東京国立近代美術館

野口光彦《鈴をもてる児》1950年頃

1.作品解説

 まだあどけない様子の女の子。大きな金の鈴を右手でふりかざし、チリチリと鳴る音を楽しんでいるのでしょうか。左手を頬に寄せる仕草も、なんとも可愛らしく見えます。

 野口光彦は主に御所人形と呼ばれる子どもの人形を手がけたことで知られています。御所人形は、本作のように、ほぼ三頭身のプロポーションをとり、そのうちの多くは裸形で表わされるものです。元々は子どもの成長を見守るために作られ、またその福々しい姿に、昔の人は吉祥のイメージを見出だしました。関節にしわが浮かぶほどふっくらとしたボディが白く輝き、おめでたい気分がいっそう高まります。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:日本の文化(中1)
「通称、しらぎく」

○キーワードにつなげるヒント

 玉のような白肌は、木彫のボディに貝がらの粉末を膠(にかわ)で練った胡粉を塗ったため。御所人形は、ふくよかな形姿を生かすために裸形であることが多く、美麗な衣裳の代わりにこの肌の美しさが重要な見どころとなります。また着衣による描写的性質を取り除くことで、より象徴的な雰囲気も漂うようです。本作の鑑賞では、幼児の行動だけでなく、その姿かたちをつぶさに観察し、それが私たちの心理にどのように働きかけるかをディスカッションしてみましょう。可愛さだけでなく、怖い、不気味などの感想を述べる生徒もいるかもしれません。そうした違和感の抽出も、対象の描写に留まらない、願いを託す対象という人形本来の機能をクローズアップするきっかけとなりそうです。

○作品の背景

 御所人形の名称は宮中で愛好されたことからつきました。また大名から贈り物を受けた公家が返礼にこの人形を送ったので、答礼人形、お土産人形とも呼ばれました。過去の作例では形式を踏襲することを重視したために、少し硬い印象のものが少なくありません。野口光彦は多数描きためた自分の子どものスケッチや雑誌の切り抜きなどから自然な表情を探り、様式美の中にも新鮮な息吹をもたらしました。

○こどもの声

「鈴がピカピカで、顔がかわいい。」(4歳)

「鈴の音を聞いているんだと思う。」(小4)

「まつげがリアル。」「ちょっとドキッとするような妙な感じ。」(中1)


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