作品図版
小名木陽一(1931-)《赤い手ぶくろ》1976年 木綿、ロープ、立体織 h260cm
東京国立近代美術館

小名木陽一《赤い手ぶくろ》1976年

1.作品解説

 壁から飛び出したかのような巨大な手袋は、指の長さだけで約1 メートル。赤という色の強さも加わって、辺りを圧倒する迫力満点の作品です。関節やてのひらの凹凸もかなりリアルに作ってあり、手袋といいながらがあるのもなんだか怪しい。だらりと垂れた様子は哀しくもあり、ユーモラスでもあるのだけれど、あいまいな指の感じが思いがけない動きを想像させて、妙にスリルを覚えます。

 本作の技法は、しめ縄やバンドリ(雨雪よけのミノ)をヒントに作者が考案した「立体織」です。裂き布でひもを作り、目をつめて織ると、繊維の摩擦や反発力が高まり堅牢になる性質が生かされました。

○解説リンク

2.キーワード

キーワード:物語(小3・4)
「壁からニョキッ」

○キーワードにつなげるヒント

 高さ260 センチの本作の存在感に、多くの子どもたちは一瞬言葉を失います。しかし壁から突き出しているような状況は、彼らの想像力を刺激するに余りある設定です。またポーズを真似てみると、サイズの威圧感とは裏腹の思いがけないダラリとした様子に気づき、それが情景を思い描くきっかけともなるようです。

 ところでこのダラリ感は本作が織物であるがゆえの特徴で、重力も造形を成立させるのに欠かせない要素となっています。また、いわゆるソフトスカルプチャーとは異なって、たたむと箱に納まり、つるすと一気に姿が現われます。

○作品の背景

 赤はこちらに向かってくる色、また気持ちを高揚させる色といわれています。つかまれそうな錯覚も、それによって生ずるのかもしれません。赤は作者が織物に進んだきっかけでもありました。博物館で出合った中東の織物の、繊維の奥まで浸透した深みとパワーに強く魅せられたのだそうです。

○こどもの声

「赤くて、燃えてた。」(4 歳)

「つかまりそうで怖かった。」(6 歳)

「爪がカラフル。」(7 歳)

「大きいものがとてもきれいで美しく見えた。」「とても大きくて私が中に入れそうだった。誰がこんなに大きい手ぶくろをはめるのかな?」「部屋に入ると大きな手がヌッと出ていてびっくり。何だかその手につつまれるようでした。」(9 歳)

「とても巨大でどうやって作ったんだろう。」「まるで恐竜の足で踏みつぶされてしまうような威圧感を感じました。」(10 歳)

「素材が毛糸ぽかった。よく見たら布っぽい。」(11 歳)

「誘っているように見える。」(12 歳)


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